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2007/11/02

GAINAX

エヴァのページで少しだけ触れた『GAINAX』について、ここでお話しましょう。
ちなみに今回はいつにも増してマニアックなので、覚悟の上でお願いします。

今からかなり前の1987年に『王立宇宙軍~オネアミスの翼』という映画が公開された。
制作はこの作品のためにバンダイが設立した企業、『GAINAX』。
監督は山賀博之(現GAINAX・代表取締役社長)、後にエヴァシリーズで活躍する貞本義行や庵野秀明もスタッフに名を連ねている。

舞台は50年代の地球を模した「ある世界」。
『オネアミス王国』の『宇宙軍』に所属する主人公シロツグ。
人類初の有人人工衛星の飛行士に不純な動機から志願したものの、さまざまな困難を乗り越えるうちに彼の心は次第に変化し・・・というストーリー。
音楽監督に坂本龍一、シロツグの声に森本レオを起用。
独自の世界観とマニアックなディテールのこだわり、今までにない主人公像がウリだった(はず)。

当時私はまだ学生だったが、この妙に地味でおかしなアニメーションに興味を抱きビデオをレンタルした。
最初に見たときはあまりにマニアックだったので物語の大筋は分かったものの、詳細な部分に関しては全く理解できず、消化不良に終わった。
その後モヤモヤを解消すべく通販でセルビデオを購入(シロツグの親友役の声優が好きだった・・・と言うのも理由のひとつ・・・)して幾度も視聴。
小説(こちらは売れたらしい)も読んでようやく分かり、『“細かすぎてわかりづらいネタ” ・・・が解る快感』を覚えた(ビデオに同封されていたチラシを見て資料集も買ってしまった・・・)。
なによりも、それまでのアニメーニョンにありがちな『万能ヒーロー』『才色兼備ヒロイン』『勧善懲悪』・・・といったパターンから見事に外れており、『自堕落な主人公』『浮世離れした宗教女』『国家と官僚』といった、どちらかというと避けられていたようなフレーズを中心に物語を進めている点が非常に新鮮であった。
私がGAINAXに興味を持つようになったのはこれがきっかけである。

他に見たGAINAXの作品は1989年のOVA『トップをねらえ!』、エヴァ、1998年に放送されたTVアニメ『彼氏彼女の事情』の3作品である。

『トップをねらえ!』
タイトルは『エースをねらえ!』と『トップガン』を足して2で割った・・・という、洒落のようなことを本気でやってしまうのが庵野秀明らしい(庵野秀明初監督作品)。
『王立宇宙軍』とはうって変わってパロディチックな作品で、『超時空要塞マクロス』で人気を博した美樹本晴彦をキャラクターデザイナーに起用した(『マクロス』は初代作品以外ろくでもないな)。
主人公タカヤ・ノリコ役に日高のり子、オープニング&エンディングテーマ曲を酒井法子が歌うなど、少々の華やかさも加わり上々の結果となった(その後『2』も制作された)。

内容は書いてしまうと面白くないのでザッとだけ紹介するが、はっきり言って最初の数話はバカバカしさ満点。
宇宙怪獣に対抗するため開発されたバスターマシンに搭乗する精鋭部隊の女性隊員が主人公。
彼女と地球の運命はいかに?!・・・というベタな内容。
コーチ(宗方コーチ似)や先輩(お蝶夫人似)、ライバルやボーイフレンドともに成長していく姿を描いた作品だが、細かい宇宙設定(年月の経ち方など)や衝撃的なラストを迎えた完全モノクロの最終話など斬新さ満点である一方で、過剰な露出やそれを誇張する描写なども目立った。

『彼氏彼女の事情』
庵野秀明がエヴァ後初めて監督を務めた作品であり、『Lala』に連載された漫画が原作。
主人公宮沢雪野は美人・秀才・運動神経抜群・・・の絵に描いたような優等生だが、実は超ど級の見栄っ張り。
人に賞賛されるためだけに自分を作り上げてきた彼女の前に有馬総一郎という同級生が現れる。
彼もまた彼女を上回る非の打ち所のない人間であったため、雪野はライバル心をむき出しにする・・・が、その有馬に正体がバレてしまったことをきっかけに二人は急接近し・・・というお話。

庵野秀明は『学園エヴァ』(TVシリーズ最終話に見られた別設定のエヴァ作品)がお気に入りなのか、これに近いニュアンスの学園ドラマ。
次々繰り出されるコメディ・パロディ、エヴァで見られた文字の挿入などに加え、実写の風景をバックに主人公が心情を吐露する場面なども組み込まれ、これまでにないラブ・コメディ・アニメを作り上げた。

こう書いているとまるでGAINAXが次から次へと斬新な作品を世に送り出しているかのように思えるが、実際は失敗作も多数あり(『王立~』も失敗作のひとつか・・・)、成功とされている作品においても各方面から多数のクレームが来るなど、必ずしも順風満帆とはいえないようだ。
ただ、『オタク』の象徴とされていたアニメーションの世界に新風をもたらし、多くの人にアニメやそれに関わる人たちに関心を抱かせたことは間違いない。
そして今やジャンルを問わずなにかしらの『オタク』であることが、ひとつのステータスのような風潮になっている。
こういった現象を生み出すことに一役買ったのもGAINAXと庵野秀明であると、私は思う。

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